電子工作
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【電子工作】現代版ヘルツの実験 「簡易LEDランタン(電磁波スイッチ)」の製作

ぽちお
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1888年 電波(電磁波)の発見で検証研究された、「ヘルツの実験」有名ですよね。

今回は、この実験に似た実験を現代風にアレンジし、電子工作を利用した形で実験する方法を紹介します。

ヘルツの実験

誘導コイルを使用し(高速でON/OFFを繰返させ)下記状況から、
電磁波(電波)の存在を得る検証実験。

  • 送信側の高電圧によって発生させた火花放電(スパーク)にて
  • 発生した「電磁波」が、
  • 空間を伝わり、
  • 受信側のコイルの間隙に火花放電(スパーク)が発生

このように、ヘルツの実験では、受信側の火花放電で電磁波の検出していますが、これには、相当に強い強力な電磁波を作る必要があり(強力な誘導コイル等を利用し、強い高電圧を発生させる送信側の花火放電)を利用する為

現代での実験環境でも危険性が伴い実用的ではありません。

 

 

結果的にこの実験に類似し、現代の電子部品を利用して簡素的にはなりますが、比較的安全な方法で実験する方法です。
※(電波や赤外線を作り、送受信をする(現代のリモコン装置等)ではありません)

 

圧電素子

圧電効果(圧力を加えると電圧が発生、電圧をかけると振動)を利用した、電子部品「圧電素子」です。 ギリシャ語のpiezein(押す)に由来する「ピエゾ素子」と呼ばれることもあります。

この圧電素子を利用した一般的で身近なものとして、点火装置(電子ライター等)が有名です。
これは、スイッチを押すと「カチッ!」という音と共に、装置内部の部品が圧電素子を叩き、この叩いた圧力により発生した高電圧放電(スパーク)で、ガスに引火させる点火装置です。

勿論、この圧電素子が発生する高電圧放電からも電磁波は発生しています。
この電磁波をネオン管を利用した方法にて様々な実験方法が紹介され、実験されていますが、今回こちらでは、様々な電子部品を利用し、この電磁波をスイッチとして動作する、電子工作上の実験です。

注意!

・本仕様は、実験を目的としていますので、製品の安定性や品質は考慮していません。
・簡易的な実験ではありますが、内部には一部危険性を伴う部分があります。(炎や感電等には十分注意し安全重視の上、自己責任にて実験検証下さい)

 

仕様・構成

送信側

  1. 点火装置、電子ライターや電子点火装置など身近な点火装置を利用します。
    実際の炎は全く使用しません!

完全使用済み(ガス残量0(炎が出ないこと))の物 または、屋外など安全な場所でガスを完全に消費(ガス残量0(炎が出ないこと))を利用します。

受信側

  1. 受信ユニット(自作)
    電磁波の受信、波形変換、スイッチ処理を電子回路で構成します。
  2. 簡易LEDランタンなど
    電源は乾電池2本~4本位を使用する、安価で改造性が優位なものを利用します。

 

電磁波

ここで、使用する電子ライターのスイッチ「カチッ!」で発生する波形を見てみます。
オシロスコープを利用し(入力端子未接続(フリー状態))て測定してみると、

一瞬にこの様な波形が計測されます。つまり、「カチッ!」と同時に微量な電磁波が発生しています。今回はこの微量な電磁波を、信号として処理する実験です。

通常は、これらの要因でも発生するスパーク等(静電気や雷など)は、「ノイズ」として存在し、電子回路では、破損や誤動作の原因として悩ましい存在です。

 

受信ユニット

電子ライターからの電磁波を、下記制御部で構成される処理にてLEDランタンの点灯を行う実験用受信ユニットです。

  • 電磁波増幅部、デジタルスイッチ部(トリガパルス成形処理、パルススイッチ制御処理)

電磁波増幅部

汎用トランジスタ3石使用し、上記電磁波信号をコンデンサの特性の一部を利用して増幅し、確認用LEDを瞬灯させます。


スパーク ➡ 電磁波 ➡ 高周波増幅 ➡ 確認用LED瞬灯

”圧電素子” と ”LED” を利用する「ヘルツの実験」
この段階でも、現代版の実験になると思います。

 

デジタルスイッチ部

ここからは、もう一工夫 更に現代の技術  ”汎用ロジックIC” を利用して、
LEDランタンを、次のスイッチ動作(デジタル処理)をしてみましょう。

「カチッ!」っと1回で 点灯 ➡ 点灯保持 ➡ 点灯中に「カチッ!」で消灯

トリガパルス成形処理

増幅された電磁波パルスは、鋭い瞬間的なスパイク波形の為 これを、デジタル処理に有効となる、パルス波形へ 汎用ロジックIC「TC74HC123」 マルチバイブレーター を利用して変換します。

パルススイッチ制御処理

上記で成形されたトリガ信号にて、スイッチON ➡ 保持 ➡ 次の信号でOFF

これらのスイッチの一連の動作を 汎用ロジックIC「TC74HC74」 Dフリップフロップ を利用し、Tフリップフロップ回路で実行します。

Tフリップフロップ:2個の信号が入力されると元の状態に戻る回路

最終的にこのスイッチパルス信号を、トランジスタで駆動しLEDランタンへのスイッチ動作回路へと構成し実行します。

(上記テストボードでは、確認用LEDを数か所に接続した仮実験写真です)

 

回路

使用する、部品及び回路図を下記に示します。

部品表

回路図

組立て

  1. ブレッドボードにて、各部動作の確認及び検証後は、適当な基板(ユニバーサル基板等)で製作します。
  2. ユニットを適当なケースに収納
  3. LEDランタンの電源及びLED接続部を外し、接続し組み上げます。

動作

電磁波(微弱なスパイク波)を利用したデジタルスイッチで 簡易LEDランタンのON/OFF操作を実験した様子です。

 

まとめ

  • ヘルツの実験、現代の電子部品(圧電素子)を利用した、使用済み電子ライターのスパークでも電磁波が発生する。
  • その波をトランジスタの高周波増幅作用にてLEDにて瞬灯
    ➡ 空間を伝わる「電磁波」確認
  • 伝達された波を、現代の電子部品を利用して スイッチ動作(実験リモコン的)に照明器具を操作
  • 静電気や雷などでも発生する電磁波ノイズ
    通常は、それらは故障の原因や誤動作防止の為 電子回路の設計では、この成分を除去する方法等が重要となります。

 

 

 

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ぽちお
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シニアエンジニア
ものづくりが大好です。
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