LEDの使い方(初心者向け)基本的にわかりやすく説明(後編)
今回は、前記事「LEDの使い方(初心者向け)基本的にわかりやすく説明」の続編として、具体的な使用例を元に説明いたします。
おさらい
LEDを使用するためには前記事の通り、順方向電圧と順方向電流が重要となります。
LEDの使い方(初心者向け)基本的にわかりやすく説明(前編)
その各種制御方法を説明します。
電流制限
抵抗
一般的な電流抑止回路に使用されます。
- メリット
・ 非常に安価、LED電流制限の多くは抵抗で行われ、一般的
・ 抵抗値の選択によってLEDに流す電流値の細かい設定が可能
・ 極性が無い為、接続方向を気にする必要が無い - デメリット
・ 使用する条件を元に抵抗値の計算が必要
・ 電圧の変動や熱にて、流れる電流も増減する為、明るさが変動する場合がある
定電流ダイオード:CRD
定電流ダイオード(CRD:Current Regulative Diode)電圧や負荷抵抗が変化しても,常に一定の電流を流すことのできるダイオードです。
- メリット
・ 抵抗のような計算が不要で、一定電流でLEDに流せる
・ 電圧変動のある電源(車両など)でも一定の明るさで点灯できる
・ 本体が熱を持つと流れる電流値が下がる - デメリット
・ 抵抗よりコストが割高
・ 極性がある為、接続方向に注意が必要
・ 電流の個体差がある
LEDドライバ
LEDドライバーとは、LEDを点灯させるための装置です。
個々にの製品仕様で異なりますが、電流や明るさをコントロールする回路などで構成されています。
- メリット
・ 一定の電流を流すように調整する機能で、電流精度が高くできる
・ 制限抵抗、その他回路による発熱損失が少なく、制御効率が良い
・ 仕様により異なるが、明るさも制御でき調光ができる - デメリット
・ 抵抗・CRDより、かなり高額
・ 単純で低電流な点灯には不向き(オーバースペック)
電流制限(抵抗)例
ここからは、一般自動車(12V車)にて、LEDを多数使用する場合などを例に解説します。
仕様
使用される環境を元に、電気的に設計します。
一般的な自動車バッテリー
公称電圧は12V 車両に未搭載時の満充電状態で、電圧は約12.6~12.8Vです。
車両に搭載されている状態では、電圧は約11~15V位の間で変動します。
充電時(オルタネータ)等の作動中は公称電圧より高くなります。(この値は、車種・環境・個体差によって変動します。)
バッテリーの車両等搭載運用時、使用電圧は15Vと定義して計算します。
使用LED
ここでは、一般的なLEDを想定し検証します。
順方向電圧(VF):2.0V 、 順方向電流(IF):20mA
安全性などを考慮の上、定格順方向電流の1/2 10mAで定義(ディレーティング※)
抵抗の定格電力
抵抗による電気エネルギーの消費(熱)を「消費電力」と言い、定格電力が定められています。 消費電力は、次の式で求められます。
消費電力(W)=電圧(V)×電流(A)
抵抗の定格電力は、1/4W(0.25W)、1/2W(0.5W)、1Wのようにワット数で表され、
同じ抵抗値でもこの定格電力によって部品が異なります。
消費電力が定格電力の半分を超えないように、選定(ディレーティング※)
※ディレーティング(derating)とは?
使用する実際の部品には誤差があり、性能・仕様が記載された条件と異なる場合等は、使用条件に合わせて定格を修正する場合があります。従って
➡ 余裕を持って各定格値以下で動作させ、安全性・安定性を向上させます。
抵抗直列
抵抗と直列に接続する場合、
- 1灯
抵抗値[Ω] =
(電源電圧[E] ― LED順方向電圧[VF]) ÷ 流したい電流[IF]
( 15.0V - 2.0 )÷ 0.01
= 1300 ➡ 1.5KΩ(茶緑赤金) W=VA : 15.0×0.01=0.15 ➡ 1/2W
- 複灯
抵抗値[Ω] =
(電源電圧[E] ― LED順方向電圧[VF]×n個) ÷ 流したい電流[IF]
( 15.0V - 6.0 )÷ 0.01
= 900 ➡ 1.0KΩ(茶黒赤金) W=VA : 9.0×0.01=0.09 ➡ 1/2W
並列接続
並列の場合、列ごとに上記式と同様です。 ※抵抗は必ず1列ごとに入れます。
下記接続は、列に流れる電流が同分流(5:5)になるとは限りません。
※LEDの特性や配線抵抗誤差等に伴い(過電流)破損の可能性があります。
電子部品には、その部品が製造された時のバラツキ(個性)が出ます。
LEDは、この個性(明るさ・色合いなど)の選定方法のひとつとして、ランク分けにて種別していることがあります。
(ランクの付け方・呼び方は、個々の製造メーカーによって異なります)
従って、複数のLEDを並べて使用する場合は、このランクやロットなどを合わせ、なるべく、「明るさ・色合い」の差が出ないよう選定し使用することをお勧めします。