無接点・半導体リレーとは?(初心者向け)基本的に、わかりやすく説明
電気のオン/オフ、電気の流れや切り替えを行う部品 「リレー」、その制御を行う方法には様々な方法があります。
リレーとは
リレーは下記のように分類分けされ、
- 有接点リレー(機械式リレー)
電磁力を利用し、その動作に対応する接点がある(メカニカル方式)
- 無接点リレー(半導体リレー)
電磁力を利用せず、半導体を利用(ソリッドステートリレー、MOSリレー)
無接点リレーは半導体を用いたリレーです。
本記事では無接点リレーを、以降「半導体リレー」と記し、解説いたします。
特長
有接点リレー(機械式リレー)は、磁力を利用すべき1次側に大きな電流を流し駆動させる必要があります。
一方、半導体リレーは、駆動部や接点が機械式ではないため ノイズの軽減や省電力化に適しています。
半導体リレーが全てに優れているわけではありません。
長所と短所
機械式リレーと、半導体リレーには それぞれ長所と短所があります。
機械式リレー
- メリット
・ 一般的で汎用性が高い
・ AC駆動タイプもある
・ 高耐圧
・ 漏れ電流がない
・ 接点構成が豊富
・ オン抵抗が理論的にない - デメリット
・ 半導体リレーより低寿命
・ 接点のチャタリングがある
・ 接点間にスパークが発生する
・ 操作音がある
半導体リレー
- メリット
・ 寿命が長い
・ 接点間の問題が少ない
・ 高速で操作可能
・ 小型で、省電力
・ 操作音がない - デメリット
・ デリケート(扱いや定格に要注意)
・ 環境(周辺温度)の影響大
・ 漏れ電流がある
・ オン抵抗がある
半導体リレー
半導体リレーは、使用する半導体や構造によって下記の種別があります。
SSR
SSR:Solid State Relay(ソリッドステート・リレー)の略称
ソリッドステート(Solid State)は、固体状態を示し、この個体部に機械的に動作しない → “半導体” を利用したリレー(Relay)の名称です。
構造
フォトカプラ、フォトトライアックなどの光素子を使用し、出力側にサイリスタ、トライアックで構成されています。
- フォトカプラ、フォトトライアック
フォト・・・は、光素子半導体の組合せよるスイッチ回路で、内部スイッチのON/OFFを制御します。 - サイリスタ、トライアアック
AC電力制御用の整流用素子です。
サイリスタは一方向制御、トライアック(サイリスタの組合せで)双方向制御が可能です。
特長
- 構成素子の理論的な制御方法伴い、AC制御が基本です。
- 機械式リレーと異なり駆動部が存在しないため、省エネで駆動に伴う故障等がない。
- 光素子により制御入力側と出力側はアイソレート(絶縁)しています。
- ゼロクロス(交流電圧が0Vの時ON/OFF)型と即時型があり、ゼロクロスでは、スイッチングノイズやサージを小さくできる。
用途
ACのモーターのON/OFF制御、ヒーター等の温度制御やランプ制御に適しています。
フォトMOSリレー
上記、SSRの一種で、こちらは出力側の素子に”MOS FET” を使用したソリッドステート・リレー(SSR)です。
構造
3つの素子、LED、PDA(フォトダイオードアレイ)、MOS FETから構成されています。
- LED
発光素子(通電時発光) - PDA(フォトダイオードアレイ)
出力側のフォトダイオードアレイが受光 → “発電”(電圧に変換(起電)) - MOS FET
この電圧でゲート制御 → MOS FET駆動
特長
- SSR同様の特長に、
- 機械式リレーと異なり駆動部が存在しないため、故障等が少ない。
- 光素子により制御入力側と出力側はアイソレート
- 出力側に複数のMOSFETを組合せ、
- AC/DC制御が可能。
- 制御構成が、1aの他に2a、1b、2b、1a1bなどの制御(接点)構成が豊富
用途
通信機器、高絶縁スイッチ、オーディオ回路、高精度な高速回路に利用されています。
名称
フォトMOSリレーは、まだ比較的歴史が浅い為、名称・商標など各社様々です。
メーカー | 名 称 |
P社 | PhotoMOSリレー |
T社 | フォトリレー |
R社 | 光MOS FET |
他社 | ー |
まとめ
- 磁力未使用の無接点リレーは、”半導体” を利用して構成され、「半導体リレー」やSSRとも呼ばれている。
- SSRは主にAC制御で利用されているが、最近ではMOSFETを使用し、DCや高速信号制御にも有効とする回路で構成されるリレーも各社(様々な名称で)存在しています。
有接点リレーと半導体リレーは、特長的な差がありそれぞれのメリット・デメリットを考慮の上、利用することが重要となります。